最近は「腸活」という言葉をよく耳にするようになりました。
ヨーグルト、納豆、食物繊維など、腸に良いとされる食品を意識している方も多いと思います。
では、腸内環境を考えるとき、「何を食べるか」だけを考えればよいのでしょうか?
今回は2024年にThe American Journal of Clinical Nutritionに掲載された、食事と運動を組み合わせた1年間の生活習慣介入と腸内環境の関係を調べた研究をご紹介します。
どんな研究?
研究には、心血管疾患リスクが高い55~75歳の400人が参加しました。
参加者は大きく2つのグループに分けられました。
介入群では、エネルギー摂取量を抑えた地中海食に加えて身体活動を促進。一方、対照群ではカロリー制限を特に設けない地中海食を継続しました。
研究期間は1年間です。
研究者は体重や血液検査だけでなく、便を採取して腸内細菌や便中の代謝物まで分析しました。
1年後に何が起こった?
介入群では対照群と比べ、
体重減少が大きく、複数の心血管疾患リスク指標が改善しました。
そして腸内環境にも変化がみられました。
腸内細菌のα多様性が増加したほか、一部の腸内細菌の存在量が変化しました。
また、胆汁酸、脂肪酸、セラミド、カルニチンなどを含む便中代謝物のネットワークにも変化が確認され、その一部は心血管疾患リスク指標の変化とも関連していました。
地中海食とは?
地中海食は、一般的に、
野菜、果物、豆類、全粒穀物、ナッツ類、魚、オリーブ油などを多く取り入れる食事パターンです。
重要なのは、「○○を食べれば腸に良い」という単一食品の話ではなく、食事全体の組み合わせとして考えることです。
今回の研究では、さらに身体活動も組み合わせています。
「腸内細菌の多様性が増えた=健康」ではない
ここは研究を紹介するときに注意したいポイントです。
「腸内細菌の多様性が高いほど健康」と単純に決めることはできません。
また今回の研究では、体重、食事、運動、腸内細菌、代謝物が同時に変化しています。
そのため、
「腸内細菌が変わったから心血管リスクが改善した」
と今回の研究だけで証明されたわけではありません。
著者らも、生活習慣介入による代謝改善に腸内細菌や腸内代謝物の変化が関与している「可能性」として結論づけています。
今日からできること
腸活のために特別な食品を探す前に、
「野菜や豆類を食べられているかな?」
「魚を取り入れているかな?」
「日常生活で体を動かせているかな?」
と、普段の生活を見直してみるのも一つの方法です。
腸の健康は、一つの食品だけではなく、毎日の食事・運動を含めた生活習慣全体から考えることが大切なのかもしれません。
参考文献
García-Gavilán JF, Atzeni A, Babio N, et al. Effect of 1-year lifestyle intervention with energy-reduced Mediterranean diet and physical activity promotion on the gut metabolome and microbiota: a randomized clinical trial. The American Journal of Clinical Nutrition. 2024;119(5):1143-1154. DOI: 10.1016/j.ajcnut.2024.02.021. PMID: 38428742.











